CDバルブ
クランクデコンプバルブのシャシダイ結果とインプレ
(タニグチブログ2010年2月1日号&2月11日号より抜粋及び追記)

 クランクデコンプバルブ(以下:CDバルブ)ですが、一体、何をしている部品なのかサッパリ意味不明ですよね? なので、まずは装着箇所と効能についてをカンタンに説明します。

 商品名は実は略称でして、正しくはクランクケースデコンプレッションバルブ・・・となります。さらに意味不明になりましたね(苦笑)。

 まず、クランクケースは説明しなくても分かってもらえますかね? 平ったく言うとクランクシャフトが収まっているエンジンの腰下部分(≒オイルの流路)です。

 デコンプレッションは「圧力を下げる」とか「減圧」といった意味です。

 で、バルブは「弁」です。

 というワケで、クランクケース内の圧力を下げるための弁・・・というのがこの装置なんです。

 何となく、ザックリと商品の意味は分かってもらえたかと思いますが、なぜこのようなバルブが必要なのかがよく分からないかと思いますんで、ちょっと補足を付け加えましょう。

 エンジンが動いている間は、必ずブローバイガスが発生します。これはピストンで圧縮した混合気や、燃焼時のガスが、ピストンの気密性が足りずに下側に漏れてしまったものです。このガスをクランクケース内に溜め込んでしまうと、エンジンオイルにダメージを与えたり、エンジン本体にも影響が出ます。また、ピストンの下側の圧力が高い状態だと、ピストンの動きにも抵抗が出やすくなるんです。そういった理由があり、エアエレメントケース〜タービン間のサクションパイプに戻すような配管がなされています。

※※このあたりのメチャメチャ詳しい説明は「クランクデコンプバルブはなぜ効くのか?」を参照のこと※※

 そこで、クランクケース内の圧力を、なるべく負圧に、悪くても大気圧な状態に保持するために、大容量で完全な一方通行になるレスポンスのいいバルブを、ブローバイガスのリターンホースに割り込ませる・・・というのがCDバルブです。

 ちなみにですが「大容量」「完全な一方通行」「レスポンスのいいバルブ」ってのがミソでして、容量が少ないとプローバイガスの流れを単純に妨げるようになるので効き目が体感しにくく、完全な一方通行じゃないと逆流時にクランクケースが思い切り正圧になるので付ける意味がなくなります。また、バルブのレスポンスが悪いと、やはりブローバイガスの流れの妨げになるので良くないワケです。
 タニグチ製のCDバルブは、オートバイなどのリードバルブを製作しているメーカーさんにて作ってもらっているので、レスポンスも良く完全な一方通行にもなってます。もちろん、容量も4000ccのNAエンジンまで対応できるモノなんで、そのあたりも心配ナシです。

 ちょっと余談ですが、オートバイだとこの手のバルブはかなり人気商品になってるらしいですね。

 で、ここからが正真正銘の本題なんですけど、CDバルブの発売に先駆けまして、シャシーダイナモ(以下:シャシダイ)テストを行なってきたので、その内容をアップしたいと思います。

 用意した車両はJA11-2型。年式相応といったコンディションの車両で、このシャシダイテストに向けて、エンジンのリフレッシュを試みたり、余計な添加剤を投入したり・・・といった姑息なマネは一切してません(笑)。


 テストは、CDバルブの有無での比較なんですけど、この写真のように「スロットルストッパー」を設けて(写真はJB23のもの)、概ね50%程度のアクセル開度になる状態で比較テストを行なってます。この方が、通常の使用に近いデータが得られますよね。

 気になる結果ですが、非常に面白い結果が得られました。





 計測馬力で0.6PSほど、最大トルクで0.1kg・mほどアップしていますが、こんな数値の変化で「ね!! パワーアップしたでしょ」とか言って、ユーザーさんを丸め込もうとするほど、管理人の性格は歪んでません(笑)。
 間違いなく注目して欲しいのがトルクを表す青い線です。7.5kg・mのラインを超えている区間が明らかに長く、非常にキレイな弧を描いているのが分かるかと思います。実は、2枚のグラフを重ねると、2000rpmのスタート付近から5000rpmまで、重なることなくCDバルブ付きの方が上回った結果になっているんですねぇ!!
 このあたりの差は、乗ってもらうとハッキリ分かるんですが、ごく普通の街乗りでの発進時や、一般道でのちょっとした加速時に「あれ!? クルマが軽いかも!!」という違いで現れます。なにせ、アクセル開度が約半分程度で、これだけの差が生まれるんですから。


 そして、全開でのテストはJB23-1型を使用して行ないました。コンディションは、約95000km走行のボチボチ過走行な車両。元もと、ブーストアップをして遊んでいた影響で、過給圧の制御が微妙におかしく、ブースト圧は0.7K掛かってるかなぁ・・・という状況。しかも、エンジンオイルの交換以外は「メンテナンスフリー」な使い方がアダになっていて、パワーはタレてます(苦笑)。

 そんなコンディションの車両でも、ホントに結果が出るのかどうか若干心配ではありましたが、こちらもシャシダイを蹴ってきました。





 どちらの結果も見事に64PSを割り込んでます(痛)・・・という現状はひとまず無視しまして(苦笑)、計測馬力で1.9PSアップ。修正馬力で1.0PSアップ。修正トルクで0.4kg・mアップという結果になりました。

 ただ、JA11でのテスト結果発表時にも書きましたが、数値の結果は誤差レベルなんでどうでもよくて、ホントに見て欲しいのはグラフの描き方なんです。どの回転域でもバルブ付きの方が高い位置で推移しているのが分かるかと思います。特に低回転でのトルクの立ち上がりの変化は優秀でしょう。

 実際に車両を走らせた感じをインプレすると、アクセルを軽く踏んでの加速時も、目一杯全開加速させた時も、装着車はとにかく車両が軽くなります。ねじ伏せられるようなパワフルさではないですが、エンジンの回る抵抗が少なくなって、軽く吹け上がるフィーリングに変化するんです。反対に、付いてたモノを取り外して走ると、モッサリした加速に変わって気持ち悪いです。

 ジムニーの場合、よほどニブい人じゃない限り、約3PSの変化があると「車両が軽くなった」とか「重くなった」と感じる傾向にあります。約2PS、 0.4kg・mアップという変化なんで、もしかすると感じにくいと思う人もいるかもしれませんが、運転スタイルによっては燃費改善も期待できそうなんで(燃費テストは今のところできていませんのであしからず)、ほとんどのジムニーユーザーにお勧めできます。

 エンジンの調子が絶好調ではない車両でここまで変化をするので、元気なクルマならさらに期待できることは間違いないでしょう。

クランクデコンプバルブ
 JA71・11・12用 28,980円
 JB23用 29,505円

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